転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
「……何故そいつがここにいる」

すぐには質問の意味がわからなかったが、ディーがレヴを見ていることに気付いてサマラは焦りながら答えた。

「えっと、レヴは私に危ないことがないようについて来てくれたの」

ディーはサマラの異性関係を気にしているようだった。別にやましいことはないけれど、もしかして何か誤解させてしまっただろうかと、内心気まずく思う。

しかしディーはサマラの言葉など耳に入っていないかのように、レヴから視線を外さない。その表情は下手に言葉を掛けられないほど、妙な緊迫感に満ちている。
レヴもレヴでディーからの威圧を感じているのか、口を引き結び睨むように視線を返している。

(……なにこれ。ふたりともなんか怖い……)

サマラがふたりを見やってオロオロとしていると、ディーがレヴから視線を外さないまま「カレオ、サマラを連れていけ」と命じた。

カレオはそれに頷き、「さあ、研究所までお送りしますよ」とサマラの背を促すように軽く叩く。
サマラはおとなしく従って歩き出したが、ふたりの様子が気になって仕方ない。足を進めながら何度も振り返り最後に見た光景は、ディーがレヴと共にどこかへ向かう姿だった。



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