転生悪役幼女は最恐パパの愛娘になりました
いつものように軽口を叩いてくるレヴに、「いいの! 今日はすごーく特別な日なんだから!」と言い返すも、やっぱり顔が勝手に緩んでしまう。
それほどまでに今日はサマラにとって特別で嬉しい誕生日なのだ。なぜなら。

(今日から十七歳! ということは破滅フラグからは完全に脱したってことだもんね! おめでとう私! 今日からはゲームの運命に怯えない新しい人生が始まるのよ!)

ついにサマラは破滅フラグの立っていた十六歳を脱したのである。
『魔法の国の恋人』では、攻略対象によって多少の日数のズレはあれどサマラの享年は十六歳と公式に記されていた。それはつまり、十六歳さえ生き抜けば破滅エンドのシナリオから解放されたも同然ということだ。

前世の記憶を取り戻したときから、破滅エンドを回避し生き残ることが何よりの目標だったのだ。悲願が達成できて、喜ばずにはいられない。
サマラは今日から本当の人生を手に入れたような気さえする。

「まあ、俺はお前が笑ってるのが好きだからいいんだけどさ。それより、ほら。誕生日おめでとう」

喜色満面のサマラに、レヴはつられるように微笑んでプレゼントの包みを手渡す。
胸をワクワクと逸らせながら開くと、中からは小型の粘土板が出てきた。以前、秘密の連絡を取り合うときに使っていた粘土板を改良・小型化したものだ。

「お前の言った通り、文字を送れるだけじゃなくこれで会話も出来るようにしてやったぞ」

「すごい! さすがレヴ!」

通話もメッセージ通信も出来るなど、これはもうスマホも同然だ。
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