新人ちゃんとリーダーさん
新人バイト九頭見結愛

「聞いて、ハリーさん」

 もふもふの毛布をぺらりと捲り、その中で丸まっている彼へと声をかける。

「今日ね、これからね、あの人とご飯に行くんだ」

 ぴくり、丸まったままの身体が少しだけ動く。けれども起きてくれそうな気配はない。

「それもね、ふ、二人で、だよ」

 緊張するよぉ~!と思ったよりも大きい声が出たせいか、再びぴくりと動く彼の身体。ゆっくりと頭を持ち上げた彼は「で?」とでも言いたげな目を私へと向ける。

「でも、ね……デートじゃないよ。だって、だってね、」

 ちょん、と彼の鼻先に触れるとしかめられる眉間。起こされた上に興味のない話をされて、ご機嫌は麗しくないようだ。

 「ただの、相談だから……あの人は……鬼頭さんは、好きな人がいるんだよ」

 ちくしょう。
 ちょん、ともう一度鼻先に触れると彼はさらに顔をしかめ、ふしゅっ!と怒りをあらわにしながら身体を丸めて、背中を覆い尽くす焦げ茶色の針をぶわりと立てた。
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