造園家は御曹司に求婚される
朝、あたし柊柚子(ひいらぎゆず)が目を覚ますと見慣れない天井があった。

「……ここ、どこ?」

まだぼんやりとした頭で寝返りを打とうとする。すると、腰に激痛が走った。あまりの痛みにあたしは「うっ!何?」と声を上げる。ぎっくり腰?まだ二十代だぞ。

あたしは仕方なく首だけを横に動かす。すると、隣には艶やかな黒髪の華やかな顔立ちの男がいた。あたしは驚いてしまう。

よく見ると、その男は服を着ていない。そしてよくよく考えればあたしも服を着ていなかった。おまけにあたしとこの男は柔らかいベッドの上。

ベッドの上に服を着ていない男女、これが何を意味するか恋愛経験のないあたしにだってよくわかる。あたしは見ず知らずの男としちゃったってことだ。……マジか。

「んんっ……。ああ、おはようございます」

顔を真っ青にするあたしに目を覚ました男が微笑む。その姿さえ美しく、街行く女性はあっという間にこの男に惹かれるだろうなと感じた。
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