独占欲強めな副社長は、政略結婚で高嶺の花を娶りたい
海斗side

 ソファで眠っていた由莉奈を抱き上げ、寝室まで運ぶ。あんなに一緒のベッドは嫌だと抵抗していたくせに眠ってしまい、危機感はどうなっているのだと問い質したくなる。

 スヤスヤと無防備に眠る由莉奈が憎らしくもあり、いじらしくもある。

 まさか自分がここまで、人に執着するとは思わなかった。

 由莉奈と初めて関わったのは、まだ俺が客として村岡物産に行っていた頃。

 行く先々で妙齢の女性を紹介されていた俺は、正直うんざりしていた。仕事絡みだけでなく、いつ頃からかプライベートでも女性と付き合うという行為を避けるようになっていた。

 結婚適齢期を意識する年頃の女性と付き合うと、必然的に考えなければならない将来の自分の立場。

 結婚相手となると、それ相応の教養が望まれる。それは肩書きを見て近づいてくる女性と、対して変わらない取捨選択をしなければならない。そう思うだけで、煩わしかった。
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