双子の異世界・奇跡の花束
二時間後_




コンコンコン


ノックされ、侍女はゆっくりとドアを開ける。

レシオンは紳士らしく言葉を添えて入ってきた。


「失礼する。ミネルアの用意は・・」


ドキン






お互いの目を見て固まった。



「あ、あの・・・」


緊張で上手く話せない。

ドレスも久しぶりで、人に化粧をされるのも初めてだった。

編み込んでいた髪もほどき、緩やかなウェーブが背中まで流れる。

銀色の髪がキラキラとシャンデリアの光で輝いている。

レシオンは口を手で覆ってミネルアを凝視してしまった。


「すまない。あまりにも綺麗で・・凄いな・・」


「あ、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」


「ハハ・・お世辞じゃない。他国の姫よりも・・姫みたいだな」



_はい、異世界の姫です。


とは冗談でも言えない。



「ハハ、俺が緊張するなぁ・・」


頭を掻きながらくしゃりと笑う。まるで太陽の様な温かい笑顔だ。



_ああ、やっぱりこの人悪い人には見えない。見えるはずない。屈託のない笑顔だもん。




スカートを広げ、ミネルアは王室直伝のお辞儀で挨拶をした。


「今日は招いてくださってありがとうございます、とても嬉しいです」

「!」


とても優雅なお辞儀に、レシオンは驚く。

一般市民が礼儀正しくこんなお辞儀をする事が出来るだろうか?と。

しかし聞かずにおいた。この美しい空気を壊したくなかった。


「こちらこそ、無理に誘った甲斐があった。今日はしっかりとエスコートさせてくれ」


そう言ってレシオンはミネルアの手を取った。

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