和菓子が繋ぐラグジュアリー。

プロローグ。


 東京に建っている大きな複合タウン。
 『ベリーヒルズビレッジ』は、旧財閥の御曹司や
令嬢などが多く住んでいる高級マンションやオフィスビル。
 そして世界有数の外科チームなどが居る
総合病院などがある有名なタウンだ。

 そこにあるテナントも高級呉服屋や宝石店など
いくつも店舗があるのだが、この中で老舗
 高級和菓子店『如月』で私は、和菓子職人として再就職することが決まった。

 どうしてそんなところで再就職出来たかというと
それは、祖母のお陰だった。
 幼い頃に憧れた和菓子を作りたくて製菓専門学校に
通い小さな和菓子店に就職した。しかし
 そこの亭主が高齢なのと小さいお店なので
経営困難なりたたむことになった。

 まだ経験が浅く腕もまだまだのため
なかなか新しい就職先が見つからず困っていると
祖母の口利きで、ここで働けるようにしてくれた。

 大好きな祖母のためにも私は、立派に働き
恩返しをしたい。何より自分で作った和菓子で
お客様に喜んでもらいたいと思った。

「今日から働くことになりました。
蓮見花恋と申します。よろしくお願い致します」

 緊張しながら頭を深々と下げて挨拶をした。

「フフッ……そう硬くならないで。
 私は、ここの女将をしている如月やよいです。
お話は、あなたのお祖母様から聞いているわ。
 リラックスしてあなたの力を存分に活かして頂戴」

緊張して硬くなっている私に優しく微笑んでくれた。
 さすが老舗の女将さんだ。紫の着物を上品に
着こなしており品がある。それにとても綺麗な人だった。
 年は、祖母と同じぐらいだろうか?

「はい……」

「お店の従業は、お店のやり方を教えながら説明するわね」

女将さんは、そう言いながら丁重に教えてくれた。
 周りのスタッフも親切で優しそうだ。
しかし、高級の複合タウンなだけはある。
 他の和菓子店とちょっと違う。

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