和菓子が繋ぐラグジュアリー。

社長の気持ち……。


華京院様は、伝票を持つと私に
 「部屋は、53Fの305号室だ。先に行っているから
心の準備が出来たら来い」と言って先に
レストランから出て行ってしまった。

 えっ……ちょっと!?
慌てて立ち上がり止めようとしたがさっさと行ってしまった。
 心の準備が出来たらって……。
椅子に座るとしばらく考え込んでいた。

ほ、本気なのかしら?
 華京院様の性格からしてそんな冗談を言うとは思えないし
昨日の自分に負けたからって……負けず嫌いなのかしら?

 それに……。何気に見てしまった。
去る間際の華京院様の表情は、耳まで赤かった。
 もしかして照れ隠し?いやいや。華京院様に限っては……。
 そんなはずはないと思うのだが、もしそうだったらと
思ったら胸が余計にドキドキしていた。
 どうしよう……私。

 あれからも散々迷った。部屋に入ったら、きっと
昨日のように抱かれてしまうだろう。
 記憶にないけど……嫌なら逃げるしかない。でも……。
何故だか迷っていた。

 結婚のふりなんて強制だし、私には責任はない。
向こうが勝手にやったことだし。
 そう思うのに女将さんの言葉が頭から離れなかった。

相手を知ることで好きになることもあるのたろうか?

華京院様の行動を振り返ってみる。
 もしかして心を整理が出来てから来いって
私が気持ちを尊重してくれているのかしら?
 嫌なら逃げてもいいように。

「…………」

何故だろう……?
 強引だったし嫌だったはずなのに心の底では
嫌だと思えなかった……。

 結局迷いに迷ってホテルの部屋まで来てしまった。
305号室……ここだ。
 ノックしたら部屋に入らないといけない。
そう思うと緊張してしまい手が震える。
 勇気を出してインターホンを押した。

するとすぐに華京院様が出てきた。
 シャワーを浴びた後だったらしくバスローブを着ていた。

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