医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…
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部屋に戻ると圭介は 落ち着きなく 動き回る。


私達の愚かさを 嘲笑うように

まとめ終えた 荷物が

部屋の隅で 2つ並んでいる。


「ねえ 圭介 もし 今日中に 帰れなかったら どうなる?」

「相当 マズいことになるね。」

「家?仕事?」

「仕事。明日 撮影なんだよ。家は 何とでも 言えるけど。」


できっちゃった結婚の 圭介には

3才の 男の子がいる。


以前 家庭の話しをした時 圭介は言っていた。

「俺 家事も育児も 協力しているから。良い旦那だよ。」

「へぇ。なんか意外…どんなこと 協力するの?」

「ゴミ出しとか 洗い物とか。頼まれれば 何でもするよ。俺は 涼子の旦那さんみたいに 高給取りじゃないからさ。」

「うちの主人は すごく忙しいもの。少しくらい お給料が良くても 割に合わないくらい 働いているわ。ねぇ 子供って可愛い?」

「可愛いよ。涼子は まだ 子供 作らないの?」


「うーん。そう思った時も あったけど。その頃 ちょうど 良い仕事が入って。そのまま 何となく…でも そろそろ 本気で考えようかな。私も 今年 30才だし。」

「涼子が 子供作ったら 俺 寂しくなるから。まだいいよ。」

「フフッ。勝手ね。自分は 子供、可愛いって 言ってるくせに。」


「それとこれは 別だよ。家内とエッチしても 燃えないんだよ。日常過ぎて。全然 興奮しないんだ…」

「へぇ。でも家庭円満なんでしょう?」

「だから 別なんだよ。家族なんて 肉親みたいなものだろ?」


「男の人って みんな そうなの?」

「人にもよるんじゃない?でも 多いと思うよ。俺みたいな奴。だから 浮気って なくならないんじゃない?」


圭介と そんな風に 話す時間に

私は 癒されていた。


お互いに 家庭を壊すことなんて

全く考えて いなかったのに。






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