黒王子の溺愛
『ベーグルとは』
昨日と同じように、キッチンの入口で一瞬固まっている柾樹を見て、美桜は微笑む。

「柾樹さん、おはようございます。」
「…ん、ああ…、おはよう…」

「お支度、終わられるまでに、コーヒー、入れておきますね。何かお口に入れられますか?」
「あ…済まないが…」
「いいんですよ。」

美桜は今日は着物だ。
別にお出かけとかではなく、単に気分で。
和装も好きなので、たまに着たくなって着ることがある。

着物、と言っても外出用のものではなく、気軽に着れるいわば普段着だ。

柾樹がシャワーを浴びに行って、その間にコーヒーの準備をする。

あと、今日は、ベーグルサンドも。
切って、小さくひとつずつ包んで、美桜が持ってきた小さな風呂敷で包んだ。

これならば、忙しい柾樹でも、口の中にポイっと入れることが出来るだろう。

今日は、コーヒーもちゃんと入れることが出来たし!

シャワーを浴びると、いつもの柾樹がダイニングに姿を見せる。

髪も整えて、身体に合わせたスーツ。
ジャケットは家では脱いでいるので、ベスト姿なのだが、それにも男性らしい色気のある人だ。

美桜はつい、うっとり見てしまう。
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