御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
10時5分前、副社長室の扉が再びノックされる。

「はい」

「失礼致します。副社長、お時間になりましたので移動をお願い致します」

「ああ」

扉を開け、翔が出るのを待つ。

そして、翔の一歩後をついていきエレベーターに向かう。そこには、エレベーターの扉を開けて待つ役員秘書。

オフィスゾーンに専用エレベーターが何基もあるが、それでも企業数も多いため、大概はエレベーター待ちをする。

翔も朝、かなり待たされ苛立ったものだ。

それが、予定時間5分前に呼びに来てエレベーターが到着していたら、3分前には会場に入れる。

これが普通かはわからないが、何もかもが完璧で文句のつけようがないのは確かだ。

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