御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
他のフロアに用事があり出向くこともあるが、副社長と一緒でなければ、特に睨まれる事もなく平和だ。

今も、たまたま海外営業部に用事があり来たのだが…

何かザワついている。

若い女性社員が受話器を握りしめオロオロしているが、みんな視線を反らしている。

「お疲れ様です」と近くに座っている女性社員に声を掛けた。

ビクッとしてこちらを見る女性。

小声で聞いてみる。
「どうかされましたか?」

「それが……フランスからの電話なんですが、相手が何を言っているのか聞き取れない様なんです。彼女もフランス語は出来るはずなんですが。しかも、相手がかなりお怒りみたいで。こんな時に、部長や課長が席を外していて」

遥は、オロオロしている女性の所へ行き、
「変わります」と声を掛けた。

女性は、涙目で遥に受話器を差し出す。


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