離婚前提マリアージュ~エリート副社長と育てる愛の花~
彼女と『ヘブンスホテル・ベイ東京』の最上階のフレンチレストランの秋のコースを堪能した。
フランスの人間国宝と言われるオーナーシェフの作り出す料理は絶品。
アミューズはフォアグラのキャラメリーゼ、オードブルはスモークサーモンとズワイ蟹、スープは味わい深いコンソメのロワイヤルスープ、メインは牛フィレ肉の網焼ききのこ添え。
目の前の彼女も料理が運ばれて来るたびに眼鏡の奥の瞳をキラキラと輝かせていた。
こんな風に全身で喜んでくれた女性は彼女が初めて。
俺と彼女は副社長と秘書の関係。
だけど、甘い恋人のような雰囲気が俺達を包んでいた。俺は遊佐に奇妙な感情を抱き始めていた。
そして、俺が『飲め飲め』と遊佐にワインを飲ませたのが祟ったのか…彼女は泥酔してしまった。

俺は自分だけで宿泊するはずだった部屋に遊佐を連れて入り、介抱する。

泥酔してしまった遊佐は手の施しようのない悪酔いをしていた。
普段、堅物の秘書として有名な彼女とは別人格。

何か得体の知れない化け物に憑依されたかのよう。

「ボブ!!ここにお座りなさい!!」

突然、俺をボブと呼び始めた。

亡くなった愛犬の名前はボブらしい。

巨漢のボブ・サップを思い出し、思わず笑ってしまった。

「笑わうな!!」
俺を睨み、一喝する。俺は大人しく口を噤み、言われた通り正座した。
ベットの端に腰を下ろし、彼女は足を組む。


その刹那に見えた彼女の足の間に心臓がドキドキして今まで遊佐に感じたコトがない欲情が芽生えた。

「暑い」と言ってブラウスのボタンを外し、胸の谷間まで見せつけて来る。
無意識に遊佐に誘惑され続け、俺の理性も限界を感じた。
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