黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
9 意地悪な彼との恋愛事情

9 意地悪な彼との恋愛事情

    

 事務所に戻りひと通り経緯を説明したあと、右足をくじいている私は伊尾さんに車で送ってもらい、自宅に帰ってきた。



 突然呉林くんに拉致監禁され、ずっと大好きだった憧れの人に好きだと言われ、無事に犯人を逮捕し、一件落着だと思ったら、そのまま報告に追われ……。
 
 信じられないくらい、あわただしい一日だった。
 
 なんだか現実味がなくて、ふわふわと地に足がついていないような感覚。夢でも見ているみたいだ。


「じゃあ、疲れているだろうから、しっかり休めよ」

 玄関でそう言って私を見下ろす伊尾さん。
 
 私が「はい」とうなずくと、彼は小さく笑ってから背を向けた。
 そのまま玄関のドアを開け、帰ろうとする。
 
 その姿を見て「え」と声が出た。
 
 
 まさかこのまま帰っちゃうの!?
 
 
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