君は私の唯一の光

君の微笑み said 洸夜

「全然違う!すごく、その通りだって思ったの。」





乃々花が急に叫んだから、驚いた。同時に体が心配になったけど。





でも、名前の意味がその通りって言ってもらえて、うれしかった。




小学生の頃、宿題で、『自分の名前の由来を親に聞いてくる。』っていうのがあった。今じゃ、なんだそれって思うような内容だよな。言われた通り、親に由来を聞いた時、すごく嬉しかったのを覚えてる。そんな風に考えてくれてたんだって、俺もそういう人間、名前に見合う人間になりたいって、その時は思った。




でも、小学校で発表した時、クラスメイトに笑われて。「そんなにしっかりしてねーじゃん、お前」って。それから、隠すようになった。そのまま今まで忘れてた。幸い、小学校で最後だったし、名前の意味なんて聞かれるの。





ただ、今の言葉で、俺がそれを恥ずかしいって隠すようにしてたのが、本当に馬鹿らしくなった。自分と合ってなくても俺は“洸夜”なんだから。とは思っても、やっぱり自分で感動する様な名前を、そのままだって言ってもらえたのは、すごく嬉しかった。




「乃々花の由来は?」




「え、私?」




「うん、教えてよ。乃々花の名前の意味。」




「私の『乃』は、昔の人が助詞で使ってた言葉で、あんまり漢字自体の意味はないの。だから、目立たなくても、いろんな人を支えられるような、優しい人になるようにっていう意味。『花』は、可憐に美しく育つようにっていう意味だって。あと、画数的にも乃々花の12画が、私の誕生日には良かったみたいで。」




ちょっと照れ臭そうに笑う乃々花に、なぜか心が揺れ動いた。じっと、見入ってしまう。





「なんか……恥ずかしいね。こういう事言うの。」




「……かもな。」





わいわいはしゃぐわけじゃないのに、こんなに楽しいとか思えた時間は、俺にとってすごく貴重だと思った。





今日、部の奴らが来るの、断っておいてよかった。でなかったら、この時間はきっとない。





そっと乃々花に目を向けると、微笑みながら、軽く俯いていた。こうして見ると、乃々花の美貌が、もろに俺の目に飛び込んできた。




金に近い茶髪。白い肌。大きな瞳と小さく潤った唇が目立つ、キレイな顔。




その顔が笑った時、背後からの眩しい陽の光を受けて、より一層美しく思えた。




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