夫婦、始めました!
めげない
「利夫(としお)、きたきたきた!」

幼稚園の封筒を持ちながら、杏璃(あんり)は言う。

幼なじみの利夫とは、一緒に住んでいて、夫婦と言う事になっているが、実際は違う。

「杏璃、落ち着けって。
もう結果は決まっているんだから」

そう言いながらも、利夫のマグカップを持つ手は震えている。

「パパもママも落ち着いてよ」

陽茉莉(ひまり)だけが落ち着いている。

「開けるよ」

ハサミで封筒を切り、中から書類を出すと、飛び込んできたのは、『不合格』の文字。
杏璃は思わず、しゃがみ込む。

「利夫、だめだった…」

利夫が立ち上がり、杏璃から書類を受け取る。
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