最後の一夜が授けた奇跡
第6章 ~離れない side律樹 ~
真っ青な顔をしてベッドに横になる季里を見ていると、自分の心がぎしぎしと音が鳴りそうなほどに痛んだ。

どれだけ俺は彼女につらい思いをさせてしまっているんだ。

すべては俺の責任なのに、俺の人生が季里を巻き込んでしまっているのに、彼女は俺の運命すら守ろうとしている。


あの夜まで、俺は自分の運命に逆らえずに歩みながらも、季里のことだけはあきらめられずにいた。

でも、諦めたくないと強く思うだけでまだ何もできていない。

社長として業績をあげられたわけじゃない。
社員から信頼されたわけじゃない。
何か企画を成功させてわけでもない。

俺は、季里とずっと一緒にいると決めながら、そのために何かしなくてはと思いながらも、まだ結果を出せていなかった。
< 86 / 500 >

この作品をシェア

pagetop