翠玉の監察医 零度の教室
ニ 知りたい
「今日も解剖がたくさん入っているわね。頑張らないと!」

世界法医学研究所の廊下を歩きながら、碧子が笑う。その隣で蘭は無表情のまま「はい」と頷き、部屋のドアを開ける。

「おはようございます!」

元気よく挨拶をする碧子とは対照的に、蘭は落ち着いた声で「おはようございます」と言った。ドイツ人監察医のゼルダ・ゾルヴィッグが「おっはよ〜、蘭!!」と笑顔で抱きついてくる。

「ゼルダ、仕事ができません」

「いいの〜!今は癒されたい!」

ゼルダに抱き締められ、蘭は碧子を見つめるが碧子はニコニコと笑っているだけだ。ゼルダに抱き締められている蘭に、アメリカ人監察医のアーサー・スチュアートとスウェーデン人監察医のマルティン・スカルスガルドが近づき、「おはよう」とニコニコしながら挨拶をする。蘭も挨拶を返し、ようやくゼルダから解放される。

「深森さん、おはようございます」

蘭は自分のデスクに座り、隣に座っている探偵の深森圭介(ふかもりけいすけ)に挨拶をする。圭介は研修で世界法医学研究所に来ているのだ。
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