偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
プロローグ 波乱のお茶会
――ガッシャン!

なにかが割れる音で皆の注目が集まる。

「あ……」

それ、を落として割った彼女は、真っ青になって立ち尽くしていた。

「す、すみません!」

三瞬のち、我に返った彼女が、慌ててあたまを下げた。

「すみません、って……。
それ、今日の目玉の高麗茶碗なのよ?
どうするのよ……」

ひとりの声を皮切りに、周囲がざわざわとしだす。
今日、ここベリーヒルズビレッジのテナント屋上でおこなわれる茶会には、国内外のセレブが集まっている。
当然、使われる茶器も名品が多い。
中でも割れたその茶碗は桁違いで、特に大事にするように家元から厳命されていた。

「すみません、申し訳ありません」

彼女は半泣きで、とうとう土下座まではじめてしまった。
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