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何人もの人がそこにいるというのに、まるで誰もいないかのような沈黙。



足音一つ、台本をめくる音一つ、全てに気を使いながら動く。



手に持っているのは、初めて名前のある役をもらったアニメの台本。



マイク前では緊張で震える声を抑えながら、その時の自分なりの必死の演技をしたつもりだった。



「君の演技はキャラクターが喋ってないね」



ガラスの向こうの音響監督が疲れた顔で言う。



意味は分からなかった。



ただ、期待外れだったたといったような、そもそも初めから期待なんてしていなかったけど、やっぱりかというような、そんなことを言われたような気がした。




瞬間、世界が変わったかのように目が覚めた。



気付いたら視界にはいつも通りの自分の家の天井が広がっていて、背中にはびっしょりと汗をかいていた。