悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
プロローグ
「レオンティーナを殺せ!」
「皇妃を殺せ!」
「ヴァスロア帝国の恥! お前など、死ねばいい!」

 処刑台の上に立ったレオンティーナに容赦なく突き付けられる群衆の声。
 十七で皇妃の座についた、名門バルダート大公家公女レオンティーナ。
 だが、彼女は傾いていく国を見殺しにした。ゆっくりと崩壊への道を歩んでいる現実から目を背けるように、贅沢な暮らしをやめようとはしなかった。
 夫は死んだ。父も、母も――異母弟も、死んだと聞いている。
 レオンティーナに残されているものは何もない。最後の矜持として身に着けていた結婚指輪――皇妃としての印だ――もまた、牢の中で親切にしてくれた世話係に渡してしまった。
 群衆の声を恐れる様子など見せてはならない。背をまっすぐに伸ばし、顎をつんとそびやかす。

(私は、この国の皇妃だから)

 たとえ誰に認められなくても。
 レオンティーナがかつてこの国最高の地位についた女性であった事実は変えようがない。
 自分は、何も悪いことなどしていない。レオンティーナは、そう断言できる。
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