悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2
第四章 彼にも語れない事情
 ロアに戻って、レオンティーナが最初にやったのは、ユエラ伯爵夫人と面会の約束を取り付けることだった。
 アンドレアスの領地にいる間も、改革案に手を入れ続けてきた。最終的な提案を彼女に見てもらい、女性貴族達の協力を得ることができたなら、実現に一歩近づくことになる。

(……緊張するわね)

 自分より年長者で経験のある人のところに赴くのだ。失礼な真似はできない。
 外出用のドレスの中でも、あまり派手ではないものを選ぶ。今回の訪問は、親交を深めるためだけのものではないのだ。
 ユエラ伯爵夫人が、息子と住む屋敷は、馬車で十分ほど行った場所にあった。

「レオンティーナ様、お待ちしておりましたのよ。ターナジアでは、忙しくなさっていたのでしょう」
「忙しくもありましたが、陛下のご命令ですから、失敗はできないという緊張感の方が大きかったです」
「そうね。陛下直々のご命令と言うのは栄誉であるのと同時に、失敗できない大役であるのも事実だもの」

 伯爵夫人がレオンティーナを通したのは、日当たりのよいティールームであった。屋敷の家具はよく手入れされている年代物だ。伯爵家は裕福であるのだろう。

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