秋に黄昏マジックアワー。褐色王子は恋愛魔法陣を行使する!

秋雲の朝に響く啓示

空には秋の雲。ひんやり爽やかで、鳥の声がさ、澄んで響く。

早朝のジョギングは ルーティン。
シューズ履いて、ポニーテール。

下町でも 大きめな商店街のある
メゾネットの 近くには
大きな川が流れていて、

『おはようございます。』

河川敷をジョギングすれば
犬の散歩の人に出会ったりする。

雨でないならさ、
モーニングピクニックで、
河川敷のベンチで
朝食も 取っちゃうよ。

狭い部屋で食べるより、
健全なさ青空ダイニングってね。

水筒にお味噌汁。おにぎり作って
ジョギングポーチにセット。

少し上流にいけば、
大きな公園もあるけどさ、
ジョギングロードにある
公園でも わたしは、十分 。
季節の花々がちゃんと咲くし、
夏には花火も見れる場所。

だからさ、
今の時期は 秋桜畑なんだよ。
まだ、蕾だけどね。

『タッタッタッタッ』

体力作りにも、趣味がてらにも
ジョギングは丁度いい。
なんてったってタダだし。
この土手とか、
ドラマにでてくるけど、
つくづく都心で
数少ない水辺の癒しだなってさ、
思ってる。

で、今朝なんだけど。
土手から 朝の川景色を
眺めて ランしてたら、

川を際に引っかかる
ヨット?が見えた。

「何?あれ?」

たまに、いろいろ
川をカヌーみたいなのとか、
競艇より大きめのボートを
見たりするけど、

「白っろっ!
そして、へんなヨット!」

思わず、声にしてしまった。
独り言とか とうとう ヤバいって。
誰もいないからセーフだけどさ。

土手の上から 寄って覗きこんで
みるけど、、、。

「ペットボトルの船?」

見間違いじゃなければ、ヨットの
船体がさ、ペットボトルだけど?
どーゆーこと?

なんかの撮影?芸人さんとか
ネットインフルエンサーとか?

朝早いからか、
今なんか 全然人がいないのが
気持ち無防備にさせるのかも。

ついつい、土手から降りて、
川際のペットボトルシップを
見に近づいたらさ、

「人いる、って?!」

独り言とか言ってらんない。
だってさ、中に人が 1人で
うつ伏せに倒れてるんだけど、、
それとも、寝てるだけ?
動かない人を、怪訝に思って
背中をよく見るよ。
死んでそうなら、警察に電話する
しかないからね。

んーー。
目を凝らして、皿ように
見つめて、よく見て、
息してたら、
上下に動くはず なんだけど、

『グルッ!!』

「ぎゃっ!!」

その人、仰向けになった!
わたし!へんな声でた!
回り見て、誰もいない。
良かった。変な声聞かれてない。
凄く葛藤したよ。

あ、この人は聞いてたか?
そうだ、死んでなかった。
なら、大丈夫か。
思って また走りだそうとした時、

「sorry、、something、 to eat
、、 フード、、ください、、」

男性の弱々しい 声が 聞こえた。
ボートで漂流してしまった人達?
海辺なら 分かるけど、いや、
海辺でも そうそう 見ないけど。
振り返って、、聞く。

「Are you hungry?」

さっき、英語だったよね。

「・・・・」

応答なし?!力尽きた?勘弁!、

「コレ あげるからさ!」

しゃーない。
ウエストポーチを外して、
それごと ボートん中に
ピッチャーよろしく 振りかぶる。

「 It's food!食べて!」

そう 相手に叫んで、放り込んだ。
もちろん頭に当たらないよう。

わたし、運動神経いいんで。

「食べなよ!」

わたしの 朝食ちゃん。
ほうれん草とコーンの白味噌汁に
ごま油と自家製マヨネーズの
おにぎりちゃんだよ。

ああ、朝食が遠く カーブを描いて

『ガゴッ』

上ー手く 男を避けて、
朝食入りのウエストポーチは、
船内に 落ちた。ナイス。

本当なら、まずは水、
なんだろうけどね、ないから。
ゆるして。
その人は、気力振り絞ってそうな
感じで、上体を なんとか お越て、
モゾモゾとポーチに手を掛けた。
良かった。
水筒と ポーチポケットの
おにぎりをさ、なんとか
食べ物って認識したみたい。

一応、心配だからさ、見ておくと
上手く、水筒を開けて
味噌汁を 脇にさしておいた
スプーンで食べ始めたからさ、
もう 大丈夫だろうね。

「日焼けしてるなあ。」

ついね、出たね。
だって、ボッサボサの
髪は黒いけど、なんとなく
日本人じゃないみたいに
感じる。食文化とか大丈夫かな?

空腹ならさ、とにかく
食べるよね。なら、

「じゃ、バーイ!!」って

手を振って、わたしは、
ジョギングの続きを 再開と
走り去ろうとした。

ん?なんでペットボトルの船?
まあ、いっか。じゃ、

「sorry!!」

え、止めるの?

こうして よく 見てもさ、
髪とか髭とか伸びて、
顔の半分は よくわからないわけ。
不審者なのね。

浅黒いっていうのかな?
その男性が、おにぎりを
日焼けした手に持ってさ
引き留めるわけ。だから

「No worries! いいからさ、」

って、変に巻き込まれも
嫌だからさ、手を振って そのまま
「食べて行ってよっ」てさ
したのよ。違うって?何?
まだある?へんな人なら
一目散に 逃げるべしだよ!

「シー、ポリス。Tell me、
教えて、、、ください。」

「へ?」

何?シー・ポリス?
捕鯨のなんか団体?違うか。
わ、ペットボトルの船って、
どっか抗議とか?よくわかんない
何それっ。警戒しつつもさ
気になっちゃうじゃない?
身を滅ばす好奇心だよ。

検索したら 水上交番だってさ。
そっか、湾岸警察署ってさ、
水上警察なんだ。
てっきり
湾岸にある『警察署』なだけ
って思ってたよ。
なるほどね。
この川の向かいちょい上流にさ
確かにあるよ、水上交番。
初めて、知った。

「I will call。わたし電話します」

耳に電話あてて、自分を
指差すジェスチャー。

不審な船が 遭難してますって、
ってね。説明しますよ。はい。

そんは不埒を事を考えて、
へんてこな真っ白い、ペットボトルの船に向かって叫ぶ。

『 キューーーイキュィーーーーー 』

ああ、鳥が 飛んだ。

秋の早朝は、空気が澄んで
思いの外わたしの声響いたかな。

その人も、なんかビックリした
ように肩を一瞬揺らした。

それでも、わたしの
言葉が 理解できたんだろうね。
凄く綺麗な白い歯をニカッて
見せながら、

「ありがとう、God bless you。」

って 笑った。そうか、褐色の肌
ってさいうんだ。

それが今朝の話で、これがさ
自称 『魔術師ケイ』との
初めての出会いで
ファーストコンタクトだって話。
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