先生がいてくれるなら②【完】


生まれてきてくれて嬉しい、と──。


出会えて嬉しい、と──。


絶対味方だから、と──。



なぁ、とんでもなさ過ぎるだろ……。



俺は立花の強烈な愛の言葉に、込み上げてくるものを押さえることが出来ない。


視界が、押さえきれなかった自分の涙で、ほんの少しだけぼやける。



真っ直ぐに立花の瞳を見つめると、優しく微笑み返してくれる。



ほんと、立花には敵わないな……。



俺は彼女を優しく抱き締め、小さな声で「……2月11日」と呟いた。



彼女は俺の誕生日を「素敵な日」だと言う。


そんな良いもんじゃないだろ、ただ “生まれてきた日” ってだけだ。


俺自身は一度だってその日を嬉しいとかめでたいなんて思ったことは無い。



だけど、そんな俺の気持ちも全て分かった上で「後悔してるなんて、言わないで下さい」と、必死に訴えかけてくれる事がとても、とても嬉しかった。



俺は立花をそっと抱き締めて、「ありがとう」と言った。


その声はとても小さかったし、きっと少し震えてしまっていたに違いないけれど……。



初めて、『生まれてきて良かった』と、心の底からそう思える瞬間だった──




俺なんかの側にいてくれて、ありがとう、愛してる────




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