先生がいてくれるなら②【完】


「ごめん、土曜日は仕事がある」




──話は、ほんの少しだけ遡る。



事件直後、私が登校出来るようになった日の数日後。


朝の部室掃除の後、準備室で一緒にコーヒーを飲んでいた、金曜日の朝のことだった。


先生が前振りなしに、私に向かって、冒頭のように呟いたのだ。



「え。なんで謝るんですか?」


先生が謝る意味が分からず、少し首を傾げて先生の方を振り返ると、「なんで、って……」と言いながら眉間に皺を寄せていた。


「先生が土曜日は学校で仕事してるのは知ってますけど?」


事務的な仕事が多くてとても平日では仕事が終わらない、と言うのは以前から常に先生が愚痴ってたので私もよく知っている事だった。


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