先生がいてくれるなら②【完】


立花と付き合うことになって初めての週末がやって来る。



残念ながら土曜日は仕事が忙しくて立花と一緒に過ごせそうに無く、朝の数学準備室でそのことを謝ると立花は「なんで謝るんですか?」と、きょとんとした表情で首を傾げた。



「なんで、って……」



平然と「土曜日は学校で仕事してるのは知ってます」なんて言うものだから、調子が狂う。



今まで付き合ってきた女性は皆『仕事(数学)と私、どっちが大事!?』と言ったので、立花も俺が仕事で会えないとなるときっと同じように言うに違いないと、当然のように考えていたのだが……。



理解出来ない、と言う風に首を捻る立花に「せっかくの初めての週末だから」と言うと、頬を赤く染めて下を向いてしまった。


「こらこら、俯くの禁止っつっただろ」


椅子を転がして近寄り、立花の顎を優しく掴んで顔を上げさせると「先生の暴君」と言って睨んできたが、睨むって言うよりどうみても子猫がものすごく頑張って威嚇してるようにしか見えなくて、思わず笑ってしまった。



て言うかさ。


「お前、俺が暴君でもいいっつったじゃん」


俺がそう言うと、言葉に詰まってどんどん顔が赤く染まる。


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