先生がいてくれるなら②【完】

「良いなぁ。……ねぇ先生、写真撮っておいて下さいね」


『バカ、引率の教師が写真なんか撮れるワケねーだろ』


「じゃあ、先生の心に焼き付けておいて下さいね。帰ってきたら全部言葉でアウトプットして貰いますから」


『俺は文系じゃ無いから言葉には出来ないなぁ、残念! 数式でならアウトプットしてやるよ』


「えっ。夕焼けってどんな数式ですか!? 先生ひどすぎ!」


こんな、なんでもない会話も、私には嬉しい。



先生は入院中、毎晩電話をかけて来てくれた。


普段は電話で話す事なんて滅多に無いから、なんだか特別な、すごく貴重な、そんな幸せなひとときだった。



< 43 / 354 >

この作品をシェア

pagetop