ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜2
とろりん卵の親子丼
 そんなこんなで青弓亭の人気メニューも順調に増えていき、エリナは充実した日々を過ごしていた。もちろん、ルディの休みに合わせてお店の定休日も作られたため、そんな日には子猫の保護者である狼隊長とのちょっとしたデート(?)も楽しんでいる。

 さて、本日の営業も無事に終わり、ふたりはお揃いのエプロンを脱いで専用の袋に入れた。
 これは王妃陛下から賜った特製のエプロンということで、洗い替えもたっぷりあるし、定期的に王家御用達の洗濯屋が引き取りに来て真っ白に洗って戻してくれるし、くたびれてきたら新しいものを補充してもらえる。料理人にとっては非常に助かる仕組みだ。
 どんな勲章や宝石をもらうよりもありがたい心遣いなので、ふたりの猫にとってのサランティーナ王妃の印象はうなぎ上りなのだ。

「エリナ、今日もお疲れさま! 明日は休みだからね」

「はい、ミメット姉さんもお疲れさまでした」

「ほら、お口あーん」

 甘やかし屋のミメットが、子猫の口に小さな飴を入れた。子猫は嬉しそうに口の中で飴を転がした。疲れた身体に染み入る甘さなのだ。

 青弓亭はお酒を出さない店なので、限定の定食が売り切れるとこの通り、すぐに店じまいをする。
 店の扉に『お休みです』という猫のマークのついた札(エリナの手作りだ)を下げると、ふたりの猫とひとりの狼は慣れた手つきで店の掃除をした。
 そう、仕事が終わると飛んでくる青弓亭の警備員兼ウエイター兼……とにかく彼は、なんでもこなしてしまう便利な狼隊長である。
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