ハッピーエンダー
空っぽ






アラームが鳴る。

クイーンサイズのベッドで抱き合って眠っていた私は先に起き上がり、音を止めた。有休に入ったのだからこんな朝から起きる必要はないのに、癖で起きてしまう。ついでに水樹さんの肩を揺すって起こした。

「水樹さん」

「んん……光莉、バイトは……?」

「んもう、なに言ってるんです。昔の夢でも見てたんですか」

目を擦って体を起こす水樹さんを後に、私は先に脱衣所でパーカーとショーパン、タイツを持ち込んで着替える。

着替え終わり、そこで顔を洗った。鏡に映る自分を見て、ため息をつく。……昨日、また水樹さんと妙な空気になってしまった。

婚約者がいる水樹さんとセックスすれば不倫も同然。いやもう相手の女性からしたらこの状況だけでそうなんだろうけど、私の中では全然違う。水樹さんと郷田さんを同じだと思ったことはない。でも、向こうは徐々に変わってきている。キスもするし、セックスもしたいと言う。私と不倫をしたいのだろうか。郷田さんと同じで。
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