ハッピーエンダー
幸せ(side水樹)






大学四年、冬。

光莉が大学を辞め、アパートを去ってから三ヶ月が経った。俺のことを本当にあの洋食屋の店長に話してから去ったらしく、たまにうちの学生課から連絡が来る。「大丈夫ですか?」と聞かれたため「大丈夫です」と返事をして、今日も実家へ向かう。


母親の世話は楽になった。アル中が悪化したため、もう怒鳴ることも殴ることもできないほど憔悴している。着飾って店に行けなくなり、ルイくんも会いに来なくなった。気分が良いときに連絡を取っているらしいが当然無視をされ、泣きはらしては酒を浴びる。俺が壁を殴れば黙り込む。放っておいても俺が怖いのか電話してこない。たまに失禁するから、面倒なのはその始末くらいだった。

母親は体も売れなくなり、俺は自由に日雇いのバイトをやった。家にいて、バイトして、必要なときは大学に行って。もしかしてこれが普通の生活なのかと思うときもあったが、まあ、違うとわかっていた。
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