溺愛確定 冷徹御曹司とのお見合い事情

お見合い

桜が満開になった三月の大安吉日。

地元で一番有名なホテルのクローク前はドレスやスーツ姿の男女で賑わっている。

その間を縫って、ベージュのトレンチコートをクロークスタッフに手渡し、番号札を受け取り、先を急ぐ。


「本日はおめでとうございます。どちら様の挙式でしょうか?」


会場スタッフに引き止められ、入り口に4組の挙式が記されていたことを思い出した。

でもよく見て欲しい。

私のワンピースは白。

結婚式に出席するのに、そんな野暮な色は選ばない。

笑顔で首を横に振ることで否定し、ラウンジへと進む。


「10時に約束をしている信楽です。鈴木様はご到着されていらっしゃいますか?」


聞くもスタッフの方には首を左右に振られてしまった。

それもそうか。

約束の時間まで30分はある。


「ご案内します」


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