勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「そういえばね、昨日、



隣のクラスの白鳥さんの婚約者見ちゃった! 



車でお迎えに来てたよ」




真希ちゃんのひとことに、みんなが盛り上がる。



「どんな人だった⁈」



「んー、優しそうな感じ? スーツ着てた」



「スーツ着て、車でお迎えか~。めちゃくちゃ憧れるっ」



「背が高くてさ、カッコよくて、


優しい年上の婚約者に『可愛いね』とか言われてみたいわーーー!」



「ほんと、それ」



すると、萌ちゃんに顔をのぞきこまれた。



「彩梅、顔が赤いけど、どうしたの?」



「そ、そうかなっ⁈」



みんなの話を聞いていたら、


九条さんを思い出してしまった。



「もしや、彩梅にも許嫁がいたりするの?」



「ふえ⁈」



「あの西園寺家だもんね。



ものすごいハイスペックでイケメンの婚約者がいたりして」



じーっとみんなに見つめられて。



「あ、あの、お姉ちゃんには、す、すっごく素敵な、


その、許嫁のひとがいたんだけど」



「彩梅にはいないの?」




前のめり気味な萌ちゃんに、うぐぐぐぐ。




「わ、私は、まだその、中途半端で。た、たとえば、もう入籍してる子もいたりす



るのかな?」



「さすがに入籍してる子はいないんじゃない?」



「入籍してるなんて、聞いたことないよ」



「そ、そうだよねっ……」



おじいちゃん、本当になにを考えてるんだろう!



「でもさ、やっぱり普通に恋愛して結婚したいよねー」



「大学に入ってからに期待!」



盛り上がるみんなの話を聞きながら小さくため息。



九条さんはどう思ってるんだろう……?



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