メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「起きろ。」

「うーん、眠い・・・今、何時?」

「7時。」

私は朝が弱い。起き上がるのに時間がかかる。早起きのお母さんが早めに起こしてくれるから遅刻したことはないけれど。お母さんは朝4時とかに起きていて寝付きの良さも世界記録保持者だとか。

私の朝の弱さはお父さん譲りだ。お父さんはいつもクールなのに朝はふにゃふにゃとしている。でも、そんなお父さんのことをお母さんはいつも愛おしそうな眼差しで見ている。

「起きないとどうなるかわかってるか。」

「・・・眉毛繋げるとか・・・?」

起動はしているものの動かないから頭の中の画面にはスクリーンセーバーが表示されている。

「そんなんじゃ目、覚めないだろ。起きないやつはこうだ。」

足元が寒くなった。ブランケットがめくられたみたいだ。

───まさか。

そう思った時にはもう私は笑い出していた。

「や、やめて・・・っ。」

裸足の足の裏を容赦なくくすぐられる。暴れられないようにもう片方の手で抑えられていた。

「起きるか?」

「起きる、起きるからやめてっ。」

そう言うとくすぐりは終わり足を抑えていた手も離れた。ホッとして再び夢の世界に飛び立とうとする。だってまだ眠いのだ。暖人は今日は特に予定がないと昨日言っていたし、私は今日バイトがあるけれど午後からだし、もう少しくらい寝ていてもいいだろう。

「・・・あと5分。」

「・・・お前、いい度胸してるな。」

暖人は今度は首と脇の下をくすぐってきた。たまらず体をよじると、彼の手が胸に触れた。

「ご、ごめん・・・っ。」

彼はひどく慌てた表情になった。触れられたことよりその表情が気になって仕方がない。

「ううん・・・。」

「・・・あっ、シャワー、浴びるか?目覚めるし。お湯張ってもいいけど。」

「うん・・・借りていいの?」

「トイレと風呂はリノベーションしてるから綺麗なんだよ。1階にオーナー夫婦がやってるベーカリーカフェがあるんだけど、シャワー浴びたら行くか?」

「行く。」

私は飛び起きた。
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