フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


「本当に?」

まだなおもしつこく問いかけてくる男性に、なぜそこまで教えなければいけないのかと頭には浮かんでた。
けど、唯一無二の親友を馬鹿にされた腹立たしさで頭に血が上り、正常な判断よりも感情が優先してついこんなことを言い放った。

「私と彼は付き合ってませんでしたし、恋人でもありませんでした! 私が勝手にのぼせて、思い込んでただけです……だから!香澄は何も悪くない」

まるで、怒鳴るように声を張り上げてた。
必死に、自分に言い聞かせるように。

ぽろり、と止めたはずの涙まであふれてきた。

「……もう、いいでしょ。3年も都合のいい女にされただけの私がバカなだけだったんだから……放っておいて……」

ぽろぽろと流れる涙を必死に手のひらで拭う。恥ずかしいし見せたくないけど、こんな失礼な人に配慮する気なんて起きなくて、遠慮なく泣いた。


けど、その涙は男性のあり得ない言葉で止まることになる。


「なら、ちょうどいい」
「……なにが、ですか?」

そして、天変地異かと思うようなひと言を、彼は私へ放った。

「アンタ、オレと結婚するか」

…………

はいいいっ!?


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