フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
ーー数日前。
ベリーヒルズの高級レストランで、恋人(と勝手に思ってた)と親友の妊娠と結婚話を聞いた私は、同じビルにある展望台でこのひとーー真宮 玲さんに出会った。
泣いてる私を散々怒らせた彼は、何を考えてるのか失恋したばかりの私に「結婚するか」と言ってきて。
流石に私も、「は?」としか言えなかった。
「……あの……意味がわからないんですけど」
「言葉の通りだ。アンタがオレと結婚すればいい」
言葉の通りって……
「ですから、そういう意味じゃないです!私とあなたが会ったばかりの見ず知らずの他人で、何の関係もない……でしょう」
勢いのままに言い返していたけれども、元々私は小心者。そのうちに気弱さが出てきてしまい、声が小さくなってハッキリと言えなくなってきた。
特に、こんな一流と評されそうな男性からの威圧感はすごくて、しおしおと萎れた菜っぱみたいに顔もうつむいてしまう。
(でも……でも。こんなおかしなこと……絶対止めさせなきゃ)
ばくばくと鼓動が速くなり、体が震えた。ハンドバッグを掴む手のひらに汗がにじむ。それでも、と勢いよく顔を上げた私に、またもとんでもない言葉が飛んできた。