フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

まるで、世界じゅうの時間が停まったみたいだった。

“妊娠がわかった”

“プロポーズ”

“産休”

そして、何よりショックだったのは…

“春日井さん”

恋人だったはずの和彦からの、他人行儀な呼ばれかた。

“香澄”

彼がいとおしむように呼んだのはーー私でなく、私の親友で。

私が一度も向けられたことがない、あたたかい眼差しと甘い響き。

ーー最初から私に気持ちがなかったのを察するには、それだけで十分すぎた。


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