「……また、帰って来られなかったんだ……」

ため息とともに、どうしてもひとり言が出てしまう。

深夜、ダイニングキッチンの大きなテーブルに置かれたトレイ。晩ご飯に、と作っておいた料理はラップがかかったまま。

深夜帰宅が当たり前だから、消化がいい温かいものを、とない頭をしぼって考えたメニュー。

別に頼まれたわけではないけど……住まわせてもらう以上、何かしないと落ち着かなくて。

一度だけ、作りおきしていたものを食べてもらえたことがあって。

“うまかった”……と、言ってもらえたから。あれ以来何となく作り続けてはいるけど。

(これじゃあ、和彦の二の舞になっちゃうじゃない)

そろそろ帰って来るかな、と冷めたスープをレンジに入れてスイッチを入れると、グラタンをガスオーブンに入れて暖め直す。その間に手早く紅茶を淹れる準備をしていると、ドアモニターのセキュリティランプが点滅して真宮さんの帰宅を告げた。

これは疲労困憊だな、と予想した私はすぐに玄関(というには広すぎるけど)にあたるエントランスホールに走り、彼を出迎えた。