きみは微糖の毒を吐く
秘密の記憶



絢斗くんと初めてのお出かけ。


可愛いワンピースも買ってくれて、可愛いカフェでご飯も食べた。

家で一緒にいられるだけで十分幸せだったけれど、初めて一緒に外にいられるのは嬉しい。




「絢斗くん、ありがとう」

「何が?」

「一緒にお出かけしてくれて」



「……楽しい?」

「うん、楽しい」

「それはよかった」




ふっと優しく笑うその柔らかい表情に、ドキンと胸が鳴る。

絢斗くんといつまで一緒にいていいのかな。
いつまでも一緒に居られたらいいな。


そんなことを思っていると。





「あれー、乙葉?」





突然後ろから聞こえた声に振り返った瞬間、ドクンと脈が跳ねる。

転校してくる前の記憶が一気に蘇って、足が震える。




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