きみは微糖の毒を吐く
救いの物語



「ねえ乙葉、絢斗くんが駅前の公園で撮影してるらしいよ」



放課後、帰る支度をしていた私のもとに、悠里ちゃんがやってきた。

絢斗くんは今日は撮影があるからと早退している。私は、え、と驚いて悠里ちゃんを見つめ返す。


絢斗くんが駅前で撮影?




「一緒に見に行く?乙葉行きたいでしょ?」



そうか、だからさっきから女の子たちがみんなソワソワしているのか。



「絢斗くんの撮影見れるなんて最高!」
「メイク直してから見に行こう」


楽しそうにリップを塗りなおして、女の子たちがバタバタと教室を出ていく。



「悠里ちゃん、私も行きたい!」

「だと思った!行こう」



悠里ちゃんと一緒に学校を出て、駅前の公園に向かう。


公園にはすでに人だかりができていて、うちの学校の生徒はもちろん、他校の女の子たちも集まっていた。


カメラに向かって、秋服を着た絢斗くんがポーズをとるたびに、女の子たちが黄色い歓声を上げる。

やっぱり絢斗くんって人気なんだなぁ、と感心してしまった。



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