こいつ、俺の嫁。【2】
1話「やっぱお前が必要」
キャベツを切ることでまな板がリズムよくいい音を奏でる。
その音を心地よく感じているとトースターからパンが焼き上がった音がして、こんがりと焼けたパンが顔を出す。
お皿に千切りにしたキャベツとパンを乗せるとどこからか香ばしい匂いが漂ってくる。
「あ!卵焼いてたんだった!」
慌ててIHコンロの火を止めてフライパンに被せていた蓋を外す。
程よく焼けている目玉焼きをトーストの上に乗せる。
隣で温めていた野菜スープをお椀に入れてテーブルに運ぶ。
完成したお皿も順番にテーブルに運んで、冷めたであろうお弁当に蓋をしてトートバッグにしまう。
「よしできた!…あとは……」
顔を出してこない奴にため息をつきながらエプロンを外す。
ほんっとにあいつの寝起きの悪さはどうにかしてほしい。
そう思いながら寝室へ向かう。
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