放課後プリンセス
第1話
忍side
運命って本当にあるのかな?
「久城襅さんが、映画『ロマンス街の小さな茶店』で主演を務めることに。
映画の舞台は中世ヨーロッパ。
襅さんはその国のお姫様役を……」
朝のニュース番組を、眺めながら食べる朝ごはん。
毎週木曜日の7時10分からは、エンタメコーナーが始まる。
そこで映画の予告映像と共に、舞台にいるお母さんの姿が映って、私の食べる手がぴたりと止まった。
ヨーロッパのドレスを身に纏い、綺麗な綺麗な顔を綻ばせるお母さんは、本当にお姫様みたいで。
もし運命があるのなら、どうしてこんな残酷なことをするのかと運命を決めた神様か何かに問いたい。
テレビを消せば、家の中は嫌に静かで。
両親は仕事でほとんど家を空けているから、とっくに慣れたことではあるけど、少しだけ寂しくなった。