アストラルゾーン
.         【対立】
 
 
 
「一言で言うなら絶対的角度から人を見るやつ」

『一言で言うなら規律を守れないやつだ!』
 


 

『主人になるなら主人のような、
 従うなら従うような態度をとるんだ』


「お前友達いないだろ」


『ここはどこだ言ってみろ。 ここは軍だ』

『軍に友達は害悪だ』


 
「俺は人を従わせるのも服従するのも嫌なんだよ」
 
 
『そんなわがままが通るか。

 軍で命令は絶対だ。 それが正義だ!』


「人を殺す正義なんてあるかよ」


『ああ正義って言うのは言葉のあやだ。

 それが合理的と言うことだ』


「そんな合理を理解したらもう人間じゃないね。

 お前、平等って言葉を知らないだろう」


彼の言う知らないは、
聞いた事がないと言う事ではない。
その意味を理解していないと言う意味だ。

私はその意味を理解している。
それは全ての人間が、
等しく差がなく扱われる事であり解している。

だが目の前のバカは、
本当に私が理解してないと思っている。


『人間的な考えが人類全てを幸せにするか?

 より多くの者を幸せにするそれが合理であり、
 平等だ』


「知ってるかそれを屁理屈って言うんだ。
 人を支配するのに平等があるか」


『それは個人の思考であり、
 軍でそれを強要するな』

『勘違いするなよ。
 話し合うつもりはないが理解させる必要はある』


『家族が入れば、人は家族を優先させる。

 1000人の命より家族1人の命だ。

 人間がコミュニティーを作れる限界は、
 30人だ。

 1万の軍の中で10人そんな者が
 それぞれの隊にいれば軍は壊滅する。

 軍に愛は必要ない』

『人権を尊重して相手を殺さなかった者が、
 その相手によって100人の仲間を殺された時、
 それはその者が殺したのと同じだ。

 1人の命を救い、
 100人の命を奪った殺人者なんだよ。

 だからこそ社会での絶対悪、殺人は、
 戦争では合法となる。

 戦争での悪とはなりえない』


「お前は独善的なんだよ。

 それを受け入れた退役軍人が、
 退役後どうなった?

 廃人じゃないか。

 軍では正義でも、社会じゃ悪だ。

 法律が違う2つの社会で、
 どちらを選んでも死刑の死刑台に立たされてる
 理不尽はどうする」


「保証されない人権はどうするんだ!」


『責任は上司にある。

 つまりは強要した犯罪者。

 犯罪者には従えない。

 そう言いたいのか』


「そうだ」

『軍では軍法会議が法律だ』

『それでもか?』


「問題は軍と一般社会、両方の法律を強要され、
 その2つが矛盾してることだ。

 人を殺せば死刑、殺さなければ軍で死刑だ。

 両方死刑の中で誤魔化し嘘をつき、
 生き延びる事を強要され、廃人になっていく」


『それでも軍での上下関係、命令は絶対だ。

 より多くの者が死なないための犠牲は必要悪だ』


ただそれを受け入れて入隊した者と、
徴兵で入った者との意識の差は、
軍が抱えるジレンマでもある。


「お前のは思想の押し付けなんだよ」
  
 
『お前は独善的と言ったが解っているか?
 その価値観を強要しているのはお前自身だと』
 
 
 
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