急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
未来への精算

宣言通り…翌日から、大也からの呼び出しはピタリと止んだ。


それなのに…。

「なんでこんなとこに居るんですか⁉︎
貴方、ツチノコの筈でしょう!」

「俺だってこういうのが飲みたい時もあるんだ」

「なんで?めっちゃ高い豆使って山藤さんが淹れてくれるコーヒー、凄く美味しいじゃないですか!」

翌日…タワー二階のコーヒースタンドで、五人分のコーヒーを買って振り向いた、出勤途中の亜里砂の目の前に…なぜか若様がいた…。

さすがにツチノコだけあって、誰も若様の正体に気づくものは無いが…。
モデルのようにスラリと背が高く、一目でわかるような上質なスーツを着こなし、テレビの中でも滅多に見られない、目の覚めるようなSSS級のイケメンぶりと、他を圧倒する存在感たっぷりのオーラとで、周囲の視線を完全に集めまくっている。
特に女性達は頬を上気させ、ポカンと口を開けたまま、目をかっと見開き、呆然としていた。

当然の如く、次第に「何者⁉︎」「タワーの人?」「何階のどこの社の誰なのよ!」という声が聞こえ始め、ざわめきが広がる。
因みにそのざわめきの中には「おお!八階の謎のマドンナもいるぞ…」という男性の小さな声も混じっているのだが、その声は大也にだけ届き、自分がそのように呼ばれている事を知らない亜里砂の耳には届かない。

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