急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
過去の亡霊
ベリータワー55階と56階には、会員制高級バーと、会員制VIPルームがあるが…。
54階の高級レストランが並ぶその奥に、会員でなくても入れる、リーズナブルに飲める小さいカウンターバーがあることは、余り知られていない。

ベリーモールの方には、マスコミに取材を受けるようなお洒落な有名店が軒を連ねているため、ベリーヒルズビレッジで働く人々は、終業後はそちらで飲み食いするのがスタンダードとなっている。

そのため、この54階奥のバーは、いつでも閑散としているのだ。

「はぁ…」

「浮かない顔だな…」

ボンヤリした表情でカウンターに頬杖をつき、グラスの氷をカランと回し、溜息をついた亜里砂に、隣の男が声をかけた。

「うん、ちょっとね。仕事が上手くいってなくて…」

「お見合いが?」

「そう…。さっさと決めてほしいのに…何だか知らないけど、人を何度も呼び出しては渋りまくって、なかなかお相手を決めない面倒なお客様がいるの…」

(正確にはお客様ではないんだけど…ね)

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