傷つき屋
不思議な能力
昼休みの教室はざわざわと騒がしい。

梅雨が続いて、この時間恒例の校庭でのサッカーできない連中が、連れ立って廊下でキャッチボールを始める。

女子はいくつかの島を作って音楽を聴いたり雑誌をめくったりする。

机に鏡を立てて恥ずかしげもなくマスカラをつけ直す奴と、やべー顔ーと笑いながらそれを写メる奴。






「やっぱり美咲かわいいわ」

少し離れた女子の島で積まれた雑誌の表紙を盗み見て、俺は呟く。

鈴元美咲、ティーン誌の看板モデルからじわじわと人気を集め、去年ヒットした純愛映画のヒロイン役が当たって大ブレイクした。



「アキオ、いいから早く写せよ、ノート」


マコトに頭を小突かれて、慌てて机に向き直る。

俺と違って授業で絶対に眠らないマコトは、縦が綺麗に揃ったノートをいつもこうして貸してくれる。

昼休みにそれを必死で写すけれど、案の定頭には一切入っていない。


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