エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
救急患者



 *

 午前八時。

 今日予定している手術の説明や確認などを行うカンファレンスを終えた俺は院内を移動していた。

 今日の午前は外来の担当になっているが、九時からの診察開始までにはまだ時間がある。そのわずかな時間を使って屋上庭園へと向かった。

 昨日は患者の急変で呼び出されてから処置を終えても危険な状態がしばらく続いた。今はだいぶ安定しているが、一晩中ICUに張り付いて朝を迎えたこともあり、外の空気を吸いたくなった。

 今日の天気は晴れだ。十月の爽やかな風が通り過ぎていく。

 けれど俺の心はどこか釈然としない。昨日、千菜と元彼氏がキスをしているのを見てしまってから嫉妬心がなかなか消えてくれない。

 仕事中は目の前の患者のことだけを考えているから大丈夫だが、ふとぼんやりとする時間ができると昨日の光景をつい思い出してしまう。

 あの男に嫉妬して千菜にキスをしてしまったことも……。


「よっ、郡司!……って、こわっ」


 後ろから肩を叩かれて振り返れば三雲がいた。

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