エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
結婚情報雑誌と婚姻届



 *

「久しぶりね、貴利くん。ちょうど昨日焼いて冷やしておいたチーズケーキがあるのよ。よかったら召し上がってちょうだい」

「ありがとうございます。いただきます」


 六年振りの再会から三日後の土曜日、午前十時。

 仕事が休みなのでのんびりと目を覚まして一階のリビングへ下りると、なぜかそこには貴利くんの姿があった。ダイニングテーブルで母親と呑気にお茶とスイーツを楽しんでいる。


「久しぶりに食べましたが、おばさんのケーキはやはりとても美味しいですね」

「そうかしら。そう言ってもらえると嬉しいわ。まだまだあるからおかわりしてね。……あら、千菜ちゃん起きたのね」


 リビングの入口でパジャマ姿のまま突っ立っている私に気が付いた母親に「おはよう」と声を掛けられた。すると、もぐもぐとチーズケーキを頬張っている貴利くんの視線も私に向けられる。


「おはよう千菜。相変わらず朝は弱いみたいだな。もう十時だぞ」


 そう告げて、再びチーズケーキを食べ始める貴利くんはもう無視することにして、私はキッチンへ移動すると冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出してごくごくと喉に流し込んだ。

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