別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
大切なブーケをお借りして、色味を百パーセント近づけたいと、ここ数日試行錯誤が続いていた。

「俺からしたら要望どおりの色味に見えるが……凛子ちゃん的にはまだ不満そうだな」

私の表情を見てオーナーがそう感じ取ったらしく、苦笑いを浮かべる。

「だいぶ理想のサーモンピンクに近づいたとは思うんですが、まだしっくりこないのでもう一回分量を変えてやってみます」

「ストイックな凛子ちゃんらしいな。そんな凛子ちゃんが作るケーキだからこそリピーターが後を立たないのかもな。あまりこん詰めすぎないようにな」

オーナーはそう言うと、店の方へと向かった。
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