蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


大ちゃんはしばらく悩んだあとで


「確かに蓮の言う通りだと思うよ
“大ちゃん”じゃなければ大和で良いんだからね」


「うん」


「じゃあ、大ちゃんでも良いよ」


「良かった
それと、もう一つ」


「ん?」


「私のこと大好きって言ってくれてありがとう」


「だって大好きだよ?」


「六年も離れてたのに変わらず好きでいてくれてありがとう」


「どういたしまして」


「私も、大ちゃんのことが大好き」


やっと伝えることが出来たと私は達成感でいっぱいになったけれど


目を見開いたまま固まる大ちゃんは


「モォーーーーー」
と唸った後で


「蓮、反則っ」


ギュッと抱きしめてきた


ガッチリホールドされた身体が
更にギュッと抱きしめられるって


「ちょ、大ちゃんっ、苦しい」


肺が潰されたみたいに苦しい


「あ、あぁ、悪い」


少し解放してくれたけれど


「やっと元通りだな」


すごく嬉しそうな大ちゃんの顔を見てると

私まで嬉しくなって

解放された腕の中に自ら戻った


「あの日の『おやくそく』
覚えてるか?」


「うん、もちろんだよ」


「あの『おやくそく』が
俺の心の支えだったんだ」


大ちゃんも同じように想っていてくれたことが嬉しい


「私もずっと心の支えだった」


「じゃあ、もう一度お約束しよう」


大ちゃんはそう言うと小指を立てた
その指に小指を絡ませて・・・


「「ぜったい」」

「「おやくそく」」


指切りしてオデコを付けて微笑み合う


温かな時間に心が穏やかになった







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