蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜
甘い甘い時間



「蓮、起きて」


大ちゃんの声に起こされて
壁の時計を見ると


「・・・六時?」


「そうだよ、起きれそう?」


「寝すぎだよね、ごめんね」


「そんなことないよ」


甘やかしの押し問答に負けて
一階へ降りれば


「蓮ちゃん、もうすぐだからね」


スーツには不似合いなエプロン姿の和哉さんと青木さんが忙しなく動いていた


「何かお手伝い」


そう呟い私に


「多分、お手伝いされると邪魔になるから
俺もなにもしないことにしてる」


ククと笑った大ちゃんも
同じことを思っていたみたいで


邪魔な二人は邪魔しないように
大人しくソファに座って待っていた


そうして準備万端で始まったバーベキューは


幼い頃に招待された時と同じで
美味しくて、楽しくて

お昼ご飯と同じように
食べ過ぎて動けなくなった


そして結局、片付けのお手伝いも出来なかった



「じゃあ、蓮はお風呂に入って」


「それは大ちゃんからどうぞ」


「蓮からどうぞ」


「大ちゃんから」


「じゃあ一緒に入る?」


「・・・っ、お先に入りま〜す」


下着とパジャマを持って
先にお風呂へと入った


その間に和哉さんと青木さんは離れに戻ったようで


続いて大ちゃんもお風呂へと入り


後は寝るだけになった


「階段降りるの面倒だから
ペットボトルのお水を持って上がろう」


「そうだね」


冷蔵庫からボトルを取り出して
二階のベッドルームへ上がる


あんなにお昼寝したから
眠たくない


そんなことを思いながら
大ちゃんの部屋と同じ大きなベッドに入る


「おいで」


両手を広げて待つ大ちゃんの胸に
いつもと同じように収まった



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